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実験計画法1 -フィッシャーの三大原則-

実験計画法とは

分散分析などの統計的手法を用いるときには信頼性の高いデータが必要になる。実験計画法とはそのデータを効率よく得るためのマナー集のようなものです。

フィッシャーの三大原則

フィッシャーの三大原則は信頼性の高いデータを得るための決まり事です。

なぜ信頼度の高いデータが必要か。分散分析の統計量Fは以下のように表されるのでした。

F=\frac{要因効果の分散}{誤差効果の分散}

目的となる要因以外からの影響が小さい、つまりFが大きいデータでなければ目的要因の効果を検出するのが困難になるから信頼度の高いデータが欲しいのです。

その信頼度の高いデータを得るためにフィッシャーの三大原則を守って実験を行う必要があります。3つの原則は以下のとおりです。

  • 局所管理の原則
  • 反復の原則
  • 無作為化の原則

局所管理の原則

目的となる要因以外を制御するために、空間や時間を小分けにします。
それにより、誤差効果を生み出す条件が均一になり群内変動Fの分母)が小さくなります。

反復の原則

水準(群)ごとに実験を反復させて同水準内で2つ以上のデータ(データ数n)を確保します。
水準間で異なるデータが得られたとしても、nが小さければそれが要因効果による差(統計誤差)なのか偶然の差(確率誤差)なのか判別できないからです。

そもそもn=1の時、Fの分母である群内変動を計算することができなくなります。

無作為化の原則

局所管理の原則で「要因以外を制御」と述べましたが、実は特定の水準に制御するのもよくありません。
なぜなら、その水準だけが他の要因と交互作用を発揮する可能性があるからです。
よってそのような要因があったとすれば、実験からこの要因を削除することは損です。

そこで、無理に水準を制御しようとせず、要因が偏りを持って実験に影響しないようにランダムに行おうというのが無作為化の原則です。
例えば、時間経過によって効果や結果に影響を受けることが予想される場合は試験の順番をランダムに行います。

乱塊法

上記の三原則に従っても、もともと目的要因以外の効果が大きいと誤差変動が大きくなります。つまり、目的要因の効果が検出されにくくなります。

そこで、水準を自由に制御できないもので、間違いなく実験結果に影響するものは1つの要因として組み込みます。これが乱塊法です。

まとめと次回

フィッシャーの三大原則は精度の高いデータのとり方に関する手法であり、なるべく要因以外の誤差を無くすことを目的としていました。

次回は、効率よくデータを得るための手法のひとつである、直交配列表について紹介します。


参考文献